退職金は老後の必要な資金のために、慎重に資産運用を行いたいものですよね。
しかし「投資はすべてリスクがあるし安全な投資なんかない」なんて思ってる人も多いでしょう。
そんな方のためにおすすめの資産運用が国債です。
今回は国債について詳しく解説していきます。
また、記事を最後まで読むと退職金が「なぜ国債で運用することが良いのか」がわかります。
そもそも国債とは?
まず始めに、国債の仕組みを確認していきましょう。
国債とは国が法人や個人に、お金をかりるために債券という有価証券を発行します。
投資家は、債券を購入し一定期間保有することによって利子を得ることが可能です。
つまり投資家は、国債を購入するだけで資産を増やすことができます。
国債には、大きく分けて3つ。
- 個人向け国債
- 新窓販国債
- 10年物価連動国債
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
個人向け国債
個人向け国債は、その名の通り個人の投資家が購入できる国債です。
個人向け国債のポイント
- 少額1万円ほどから国債を購入できる
- 国債を購入して1年がたつ途中解約が可能
- 元本割れの心配が少ない
そんな個人向け国債は、次の3つの種類から選ぶことができます。
(引用:楽天証券)
変動10年プランは、定期的にもらえる利子が実勢金利によって判断されます。
(引用:楽天証券)
実勢金利とは、金融市場の資金供給に反映して適用する金利。
つまり変動10年プランは、市場の値動きによって得られる利子が変わってきます。
一方、固定5年・3年プランは、国債を購入した時に決められた利子を、満期までもらうことが可能です。
まとめると国債を個人で購入する場合は、上記の3つから購入したいプランを選び、利子で利益を得ます。
株式投資などと比べると国債は、非常にシンプルで初心者にも始めやすそうですね。
個人向け国債の金利を計算
投資家の皆さんは、国債の仕組みが「どうこう」というより、退職金で国債を購入して、どのくらい資金が増えるのかが気になるところでしょう。
今回は、退職金を個人向け国債で運用した場合のシミュレーションをしてみました。
固定3年プラン基準金利ー0.03%=年率
基準金利は、実勢金利をもとに算出されます。
ゼロ金利制度により市場の金利は、下がり続ける日本。
つまり基準金利はマイナス?って思ってしまう人もいるでしょう。
国債は、0.05%が最低金利と定められているため、0.05%以下になることはありません。
最低金利の0.05%で、退職金を運用した場合のシミュレーションを見ていきましょう。
※日本の退職金の平均受領額は1700万円ほどといわれています。
利子:1700万円(退職金)×0,0005(最低金利率)⁼8500(1年間でもらえる利子)8500×3(固定3年プラン)=25,500
固定3年では、2万5500円の利子がもらえる計算になります。
固定5年も、同様に基準金利「ー0.05」で計算することで年利を出すことが可能です。
固定5年もまた、最低金利が0.05%なので0,05%を下回ることはありません。
変動10年は、半年に一回金利が変わるので計算することが難しいといえます。
財務省のHPにシミュレーション機能がついているので、ぜひ併せて確認してみてください。
↓
総務省|受取利子シミュレーション
個人向け国債の購入方法
個人向け国債は、基本的に証券会社が国債を購入して、投資家は証券会社を通して合う場合が多いでしょう。
個人向け国債は、取り扱っていない証券会社もあるので確認が必要です。
また国債は、購入期間が限られているので、購入期間を逃してしまうと次の国債を販売する期間まで待つ必要があります。
購入期間に国債をスムーズに購入するためにも、あらかじめ証券会社の口座を開いておくとよいでしょう。
新型窓販国債
新型窓販国債は、平成19年より開始された法人も個人も購入できる国債です。
新型窓販国債のポイント
- 最低購入額が5万円からと個人向け国債よりは高め
- 国が買い取る途中解約制度がない
- 新型窓販国債はマンションの管理組合や法人も購入が可能
新型窓販国債の種類は、以下の3種類です。
(引用:財務省)
購入できる期間は、タイプによって異なります。
財務省のページを、定期的にチェックするとよいでしょう。
10年物価連動国債
その名の通り、物価に連動して利子が増減する債券です。
発行価格は市場のインフレを予想した価格になるため、インフレが予想されると、実質元本割れからスタートする形になります。
しかし10年物価連動国債は、最低保証があるので額面総額(債券に記載されている)を下回ることはありません。
10年物価連動国債は、インフレに強い国債となっているためインフレ局面である日本の国債を
検討してみてはどうでしょうか?
退職金を国債で運用するメリット
退職金を資産運用する際は、資産を失ってはいけません。
そもそも退職金で資産運用をして資産を失わない人はいないと思います。
失うことができない退職金での運用と相性が良い資産運用は、国債です。
退職金を国債で運用するメリットは次の通りです。
- 元本が保証されていて安心
- 定期預金よりも高い金利で運用できる
- 長期的な運用も短期的な運用も可能
元本が保証されていて安心
まず国債を運用することは「安全性」が高いです。
資産運用において安全性高いことは、一番の魅力と言ってもよいでしょう。
国債は、国によって発券されているものなので、国が破綻しない限りは元本が保証されます。
皆さんは、銀行でお金を貯金していますよね。
国債と銀行は、唯一元本が保証された資産運用と言われています。
しかし1000万円以上銀行に貯蓄している人は、銀行の倒産に気を付けなければなりません。
つまり銀行が倒産してしまうと、ペイオフ制度というものが適応され、1000万円以下しか返ってこないのです。
資産を分散しておくという意味でも、国債を購入するとよいでしょう。
定期預金よりも高い金利で運用できる
国債は、定期預金よりも高く資産運用ができます。
定期預金の金利一覧を見てみましょう。
順位 | 金融機関 | 金利 |
---|---|---|
1位 | SBI新生銀行 | 0.30% |
2位 | 播州信用金庫 夢みらい支店 | 0.26% |
2位 | 愛媛銀行 四国八十八カ所支店 | 0.25% |
4位 | しずおか焼津信用金庫 しずしんインターネット支店 | 0.23% |
5位 | 商工組合中央金庫 商工中金ダイレクト | 0.22% |
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39位 | 鹿児島銀行 かぎんネット支店 | 0.004% |
---|---|---|
参考 | 3大メガバンク | 0.002% |
(参考:ダイヤモンドザイ)※3大メガバンク・・・「三井住友銀行」「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」
SBI新生銀行の金利は、0,3%と高めに設定されています。
しかし皆さんが利用しているであろう大手銀行の金利は、0,002%と非常に低い金利です。
国債の金利は3大メガバンクの定期預金の金利に比べると、高いことがわかります。
長期的な運用も短期的な運用も可能
国債の商品一覧を思い出してみて下さい。
国債の商品は、2年・3年と短い期間で資産運用できる商品から、10年資産運用できる商品があります。
短期での運用は、2年・3年後の必要な資金ために国債を運用することも可能です。
また国債を購入したことがない人は、短めで運用することで国債の運用を知ることもできます。
一方国債を10年と、長期的に資産運用すると確実に資産を増やせるでしょう。
国債の長期運用は、老後に必要な資金の確保にもなります。
まとめると国債は、短期運用も長期運用も可能で、自分の目標や投資スタイルに合わせて運用できるということです。
退職金を国債で運用するデメリット
退職金を国債で運用するメリットがわかってきたのではないでしょうか?
メリットを知ったならデメリットを知る必要がありますよね。
以下は、退職金を国債で運用するデメリットです。
- 途中解約すると利益が得られない可能性がある
- 投資信託などに比べると利益を得づらい
途中解約すると利益が得られない可能性がある
定期預金も中途解約すると、良いことがないのは皆さんもご存知の通りです。
特に債券は満期になると決まった元本をすぐに返してくれるので、約束された満期より早く解約しようとすると、債券の発行者は被害がありますよね。
そのため債券の途中解約は、ペナルティとして利息が受けられなくなります。
だから、自分の債券を第3者に売るしかないのです。
価格は市場の状況によって価格が決まるので、価格がどうなるか分かりません。
債券を第三者に売るのもリスクがあるため、債券を購入する際はできるだけ中途解約を避けましょう。
投資信託などに比べると利益を得づらい
国債は、株式というよりは銀行の預金に似ています。
投資家は国にお金を貸して、満期にお金を返してもらうので、投資というよりは預金に近いです。
特に国債は国から直接お金を借りるので、信用の保証を政府がしてくれるので、最も安全な債券です。
簡単に言えば、お金を貸した国が破綻しない限り、満期まで約束された利息を受け取ることができます。
ただ、これだけ安全でリスクの低い商品なので、私たちが期待できる利益は少ないです。
どのくらい少ないのか実感が湧かないので、現在の基準(2023年4月4日)で日本国債を見てみましょう。
商品ごとに利回り、前日最終利回り、高値、安値、前日比、前日比(%)、時間も一緒に説明されていますね。
他のものよりも最も重要な「商品ごとの利回り」がどれくらいなのかを見ればいいと思います。
日本国債の1ヶ月から3年までは利回りがマイナスなのに対し、4年から利回りがプラスに変化しています。
そして、日本国債30年になってからようやく利回り1%を超えるようになります。
簡単に言えば、日本国債は4年程度の満期商品を購入し利回りがプラスになるのですが、その利回りが1%にも満たないということですね。
他の投資信託よりも利益が低いことがお分かりいただけると思います。
(引用:インベスティング・ドットコム 日本版)※2023年4月4日時点
退職金の資産運用で失敗しないための知識
退職金を失いたくないと思うのは当然の事です。
いくら安全性の高い投資をしても、資産運用をすることはリスクがあります。
昨今、アメリカの大手銀行が倒産しました。
アメリカの銀行の中でも相当大きな銀行だったため、予想できた国民は少なかったことでしょう。
そのため、安全性の高い投資を選ぶだけでなく自分自身でも、資産運用で失敗しないための知識を身に着けることが大切です。
資産を4つに分けておく
まず投資を行う前は、投資の方法に目を向けるのではなく自分の資産に目を向けてみてください。
自分の資産を整理することで、投資できる金額を知ることができます。
それでは資産の分け方を見ていきましょう。
順番に見ていきます。
生活費は、皆さんもご存じの通り生活をするうえで出る出費です。
総務省の報告している家計調査報告書では、一人暮らしの平均出費は13万円ほどといわれています。
上記の平均出費を参考にして、もう一度生活費を見直してみてください。
貯金は、これから10年以内に使う予定のある資金を銀行に預けておきます。
銀行に預けておく最大のメリットは、すぐに引き出せることです。
国債や他の投資は、途中解約してしまうと利益を得ることができなくなる恐れがあります。
使う予定のある資産は、銀行に預けておくとよいでしょう。
安全性のある資産は、今回の記事でたっぷりお話ししたように国債に当たる資産運用です。
生活費や貯金を確保すれば、ぜんぶ投資に回してしまうと損失が出てしまったとき精神的ダメージも受けてしまうでしょう。
上記のような失敗を防ぐためにも、安全性の高い投資に充てる資金・リスク高く資産を増やしやすい投資に回す資金を分けておくべきでしょう。
退職金専用プランに注意する
退職金を受け取る時期になると様々な誘惑や悩みが増えるでしょう。
その一つの例と例として退職金専用プランの勧誘です。
その名の通り退職金で資産運用をするためにつくられたプランなのですが、退職金専用プランには大きな落とし穴があります。
退職金専用プランは、投資信託を一緒に購入すると定期預金の金利が非常に高く預けられるよというプランです。
しかし退職金専用プランは、販売する金融機関が設けるために作ったプランののため投資信託の手数料が非常に高く設定されています。
退職金専用プランの失敗例として、手数料が高く結局マイナスになってしまった。など初心者では判断しづらい手数料が落とし穴になっているでしょう。
退職金専用プランという名前に惑わされることなく、慎重に資産運用の方法を決めていくことが大切です。
(番外編)退職後の予想されるライフイベント
番外編として、老後はどんな出費が待ち受けているのか見ていきましょう。
政府が老後2000万円問題を取り上げたように、老後の必要な資金の貯金額は、2000万円と言われています。
以下の図を見てみると、退職金を受け取る50代から60代にかけて様々なライフイベントが待ち受けています。
例えば、住宅ローンの返済・子供の養育費や孫の養育費・病気やケガをすることも多くなるでしょう。
老後の必要な資金の備えは、2000万円以上必要になることがわかります。
結論として退職金の資産運用は、計画的に行うことが老後の生活を左右することになるでしょう。
まとめ:退職金を国債で運用すべきか
本記事では、国債を退職金で運用するメリット等を見てきました。
国債は、銀行に貯金するように安心して資産運用できるメリットがあります。
国債は満期まで持ち続けると、資産が利子付きで返ってくる非常に簡単な資産運用です。
退職金で国債を運用する際は、短期で資産運用をするのか長期的に資産運用をするのか目標を明確にするとよいでしょう。
より高い利回りで退職金を運用したい方は以下の記事を参考にしてください。